Q6 数的推理(確率1)
 箱の中に、1〜9までの番号を1つずつ書いた9枚のカードが入っている。ただし、異なるカードには異なる番号が書かれているものとする。この箱から2枚のカードを同時に選び、小さいほうの数をXとする。これらのカードを箱に戻して、再び2枚のカードを同時に選び、小さいほうの数をYとする。X=Yである確率を求めよ。



  考え方
 この問題は、2011年京都大学入学試験数学で文系理系共に出題された問題です。私は自分の学力を維持するためと、大学の出題傾向が中学・高校の教育や入試にも影響を与えていると考えることから、センター試験と東大と京大の入試くらいには目を通すようにしています。
 その中で、京大の問題の中に、中学程度の知識で解けるものがありましたので紹介します。
  
確率とは、

 
      を求めることです。
    
 しかしこれには、「起こりうる全ての場合が同様に確からしいとき」という重要フレーズがつきます。ややこしい言い回しですが、難しく考えなくても大丈夫です。たとえば、サイコロならばどの目がでるのも同じ確率、カードならどれを引くのも同じ確率ということです。

 逆に、競馬なら、どの馬の勝つ確率も同じとは言えませんね。10頭で競争して、ある馬が勝つ確率は1/10・・ではないですよね。馬には能力差がありますから。だから「起こりうる・・」とは言えず、確率の問題の題材にはなりません。

 本問では当然ですが、箱に入っているのだから外から見えないという設定です。カードが丸見えの箱だったら、どのカードも同じ確率で選ぶなんて言えませんね笑。入試問題は普通に読んでください。どの組合せも同じ確率で選ぶと考えましょう。(こんなことを考えるのは私だけなのかもしれませんが。)

 さて本問で「モレなくダブりなく」分けるのは、X=Yの値です。XもYも1〜8ですから、「X=Y」となるのは、「@X=Y=1またはAX=Y=2または・・・GX=Y=8」ですね。そして@〜Gはダブっていないので、「@の確率+Aの確率+・・・+Gの確率」を計算すれば、「X=Y」となる確率が求まります。
 
 では、@「X=Y=1」となる確率を求めてみましょう。これは、「X=1かつY=1」ということですから、(X=1となる確率) × (Y=1となる確率) で、@の確率が求まります。
    
  そこで(X=1となる確率)を求めましょう。

 まず、9枚のカードから2枚のカードを同時に選ぶときの全ての組合せ(分母)です。
  1枚ずつ2枚取り出して並べる並べ方は、
    9通り(1枚目)×8通り(残りから選ぶ2枚目)=72通り。

 しかし、3→6と取り出しても、6→3と取り出しても、組合せは同じになりますから、72通りだと2倍数えてしまっています。よって72÷2=36通りが、全ての組合せ(分母)になります。(高校数学を学んだ人ならと一瞬で出すと思います。)

 次に、この36通りの中に、X=1となるのは何通りあるのでしょうか(分子)。
 2枚の中に「1」が含まれていれば、必ずX=1となります。
だから、(1・2)、(1・3)、(1・4)、(1・5)、(1・6)、(1・7)、(1・8)、(1・9)の8通りが、X=1となる場合です。

  以上より、8/36が「X=1」となる確率です。 
  また、Yも全く同様なので、「Y=1」となる確率も8/36です。
  ゆえに、@「X=1かつY=1」となる確率は、 となります。


  同様の考え方を繰り返して、
 A「X=2かつY=2」となる確率は、Bは・・・、Gはとなります。(ご自身でやってみてください。)
    
  ここから、求める確率は、 となります。

 (高校数学を学んだ人なら、↑の計算で を使うでしょうが、知らなければ、がんばって計算するしかありません。) 


 京大入試であっても、取り組めると感じた小・中学生もいるのではないでしょうか。
 京大にしては易しい問題なので、解けたからといって合格するとは言えませんが、できる問題もあると知ってもらえれば嬉しいです。ではまた。

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