父親と2人の息子が家から公園まで行くことにした。最初、弟は分速200mで走る父の自転車の後ろに乗り、兄は分速50mで同時に歩いて出発した。父は途中で弟を降ろし、すぐに歩いている兄を迎えに戻った。弟は降りた場所から分速40mで歩いた。父は兄と出会ったところから自転車の後ろに乗せて公園に向かうと、3人は出発から25分後に同時に公園に着いた。家から公園までの距離は何kmか。ただし、弟を降ろしたり、兄を乗せたりする時間は考えないものとする。
1.2.2km
2.2.6km
3.3.0km
4.3.4km
5.3.8km
この問題はMさんよりいただいたご質問です。ダイヤグラムの使い方を教えて欲しいというご趣旨でした。ありがとうございます。・・・しかし申し訳ないのですが、私はダイヤグラムというものを特に勉強したことがなく、何でも方程式で解いてきたので、ご期待とは違ってしまうかもしれません。
そこで、まず私の考え方を示させていただき、よければMさんや他の方々と議論をさせていただければと思います。いつもと異なりますが、皆さんと高めあえれば嬉しいです。よろしくお願いします。ですので、ダイヤグラムというものを既に使いこなしている方は読まれない方がよいかもしれません。
【Ⅰ】方程式を利用した私のやり方
弟の自転車に乗っていた時間をX(分)、兄の歩いた時間をY(分)とすると、父が兄を迎えにいくために、引き返した時間はY-X(分)と表せます。
父と兄が出会った時点で、父と兄それぞれの家からの距離は等しい(①)。
兄と弟が出会った時点で、兄と弟それぞれの家からの距離は等しい(②)。の2式を立てました。
①父は弟を乗せてX(分)進んでから、兄を迎えにY-X(分)同じ速さで戻るので、父が兄と出会った地点は、父が弟を乗せて、X-(Y-X)=2X-Y(分)進んだ地点と同地点になるはずです。兄が歩いて進んだ距離は50Yです。
よって、200(2X-Y)=50Y・・・①【父=兄の式です】
②弟はX(分)自転車に乗ってから、25-X(分)歩きます。また、兄はY(分)進んでから、25-Y(分)自転車に乗ります。
これを式にすると、200X+40(25-X)=50Y+200(25-Y)・・・②【弟=兄の式です】
①②を簡単にすると、8X=5Y・・・①、16X+15Y=400・・・②となります。
そしてこの連立方程式を解いて、X=10、Y=16を求め、②の左辺にX=10を代入して2600m、つまり2.6km(答え2)を導きました。5分弱で回答できました。
【Ⅱ】ダイヤグラムについて
ダイヤグラムとは、横軸に時間を、縦軸に距離をとったグラフのようなものだと思います。そうすると、これを描くことで答えが幾何的に求まることがあるのでしょう。
この問題でいえば、式①を出す過程で父が引き返して兄に会う地点が、2X-Y(分)進んだ地点であるということが、ビジュアル的に理解できると思います。ここまでは私も納得で、時間に余裕があればミスを防ぐ意味でもこのグラフを書いた方がよいと思います。つまり私のお勧めする解法は簡単なグラフを描きつつ、連立方程式を併用する方法です。
しかし、さらに最後まで幾何的方法のみで解ききる上手いやり方があるのでしょうか?もし、兄と弟の歩く速さが等しければグラフが平行四辺形になりますので、幾何的に上手い解法もあると思います。しかし、本問では最後まで幾何だけで解く方法が私には判断できませんでした。
そこで質問を返すようで申し訳ないのですが、参考にされた本などで幾何的解法が示されていれば教えていただきたいです。もし、良い解法があれば後日このページを更新して紹介させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
私は常に方程式で突破してきました。だからこそ、ある意味で悩まずにこられたのだと思います。私は縁あってこのページをご覧いただいている方には、テクニックよりも常に使える方法である方程式で解ききる腕力を養っていただきたいと考えおります。個々のテクニックはその後に余裕があればで良いと私は思っております。ではまた。
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○追記
Mさんは方程式を用いた解法を望まれていたようですので、ご希望に沿えたようですが、ダイヤグラムを利用した方程式を使わない解法も皆さんにご紹介します。比較してもらえれば嬉しいです。
【Ⅲ】ダイヤグラムによる解法
図は上で示したものとほとんど同じです。そして注目すべきは距離を示す縦軸です。
【Ⅰ】では、同じ時間に、家(0地点)からの距離が等しくなる2地点(父と兄が出会った地点・兄と弟が出会う地点)で二人が出会うことに着目して、連立方程式を立てて解きました。
一方、ここでは、同じ時間に進んだ道のりの比が、それぞれの速さの比になるということから、2つの式を作ります。
(1)家を出てから父と兄が出会うまでに(同じ時間に)、父と兄がそれぞれ進んできた道のりの比は、速さの比になり4:1。
つまり、OB(弟乗せて)+AB(兄を迎えに):OA(兄が歩いて)=4:1
ここで、最終的にOAとABとBCの比が欲しいので、OBをOAとABに分解します。
(OA+AB)+AB:OA=OA+2AB:OA=4:1
(内側の積は外側の積に等しいから)4OA=OA+2AB
よって、3OA=2ABとなり、OA:AB=2:3・・・①になります。
(2)同様に、弟を下ろしてから再び父と弟が出会うまでに(同じ時間に)、父と弟がそれぞれ進んできた道のりの比は、速さの比になり5:1。
つまり、AB(兄を迎えに)+AC(兄乗せて):BC(弟が歩いて)=5:1
ここで、最終的にOAとABとBCの比が欲しいので、ACをABとBCに分解します。
AB+(AB+BC):BC=2AB+BC:BC=5:1
(内側の積は外側の積に等しいから)5BC=2AB+BC
よって、AB=2BCとなり、AB:BC=2:1・・・②になります。
(3)①と②の比より、OA:AB:BC=4:6:3
家から公園までを全て同じスピードで進んだのは父のみです。だから父で考えます。上のダイヤグラムより、父はABを3回進んだので、父の進んだ道のりはOA+3AB+BCと表せます。また、この道のりは、父が25分かかったので、200m/分×25分=5000m
さらにOCと父の進んだ道のりの比は、
OA+AB+BC:OA+3AB+BC=4+6+3:4+18+3=13:25
よって、求めるOC間の距離は、となります。
いかかでしょうか。私はダイヤグラムによる解法とは幾何的に解くことであると思っていましたが、単にグラフを利用して状況を把握しているだけと気づきました。つまり、【Ⅱ】と【Ⅲ】には本質的な差がありません。
ただ、【Ⅰ・Ⅱ】では、同じ時間進んだ結果、等しい地点に達することから方程式を立てており、【Ⅲ】では、同じ時間進んだ結果、進んだ道のりは速さに比例することから比の式を連立させて解くという違いがあるだけなのです。
本質的には同じですから、後はご自身に合う方を選択していただければと思います。私は式のシンプルさから【Ⅰ】が好きですが、これは好みの問題です。Mさんありがとうございました。
ところで、私が方程式を立てることを強調しすぎたためか、「この問題を方程式でやるべきでしょうか」と別の方から質問を受けましたので、Q13で取り上げようと思います。あわせてお読みいただければと思います。
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