Q11 数的推理(多物体の速さ)
 Aさんが秒速1mで直線道路をパン屋に向かって歩いていたところ、パン屋の方角から一定間隔で青色の風船が風に乗って秒速4mで一直線に流れてきた。これら青色の風船はパン屋の主人Bが店の前で放していたものである。まもなく、Aさんがパン屋から500m離れた地点まで来たとき、風船の色が赤色になった。これら赤色の風船は、パン屋の主人Bが自転車に乗って風船の流れていく方向に沿って移動し、立ち止まって赤い風船を放し、再び移動し立ち止まって放すという作業を繰り返したことにより流れてきたものである。この間、自転車の移動速度は平均して秒速2mであった。また、風船はその色にかかわらず、常に12秒間隔で放されていた。
 最初の赤色の風船がAさんの上を通過した時点から1分経過する間にAさんの上を通過した赤色の風船の数は最初の赤色の風船を含めていくつか。
 ただし、風速及び風向は常に一定であり、また、立ち止まっていた時間は無視するものとする。

1.4個
2.7個
3.10個
4.13個
5.16個



  考え方

 今回も速さに関する問題です。一般的に流水算と言われているものに近いのかもしれません。まぁ、そんなことはどうでもよくて、長めの文章を短時間で読む練習をするのに良いと思い取り上げました。平成14年に国家Ⅰ種試験で出題された問題です。

 このように登場するモノが多数の場合は、
「基準となる時点で正確に状況を把握できるか」がポイントです。逆に言えば、基準時点の絵が描ければ勝ちです。

 まず、文章が長めですので関係する条件を整理してみましょう。試験では○をつけておくだけで良いかと思います。

 ①Aさんは1m/sの速さでパン屋へ向かう。 
 ②風船は4m/sでAさんへ向かって流れる。(青風船はこのことを示している。)
 ③パン屋のBは2m/sでAさんへ向かってくる。
 ④パン屋のBは12秒ごとに風船を放つ。(そして、放つ瞬間は「立ち止まって」いる。放された瞬間の風船の速さが0ということを示しているが、これは分からなければ無視してよい。)
  
 このくらいのことが読めれば十分でしょう。
 そして、
Aさんの上を1個目の赤風船が通過する時点が「基準となる時点」になることは分かると思います。また、対象が「1分間」なのですから、Aとパン屋の距離は回答に無関係であり、実は「500m」は無視してよいのです。
 
 では、基準となる「1個目の赤風船が通過する時点
の状況を描きにいきましょう。
 今回の主役はAさん、対象は赤風船なので、Aさんと赤風船を描かなければいけません。パン屋のおやじは風船を放す役なので、直接関係する赤風船の状況さえ描ければ、描かなくてOKです。

【Ⅰ】まず、赤風船の状況です。
 赤風船は12秒ごとに放されます(④)、そして4m/sでAさん方向に流されます(②)。だから、パン屋が止まっていれば、(4m/s×12s=)48m間隔で流れてくるはずです。

 しかし、この問題ではパン屋は自分で放った赤風船を追いかけながら、次の赤風船を放しますので、これを考慮しなければなりません。
 パン屋がある風船を放して、次の赤風船を放す12秒の間に赤風船は48m流れますが、パン屋がその間に(2m/s×12s=)24m追いかけるのですから(③)、その差は(48-24=)24mです。そして次も、その風船を追いかけて次の風船をその12秒後に放すのですから、次の間隔も24mになります。
 つまり、風船を○ ○ ○・・・と描くのですが、それぞれの間隔は24mになります。そして、すべての風船は4m/sでAに向かってくるのです。ここまで分かれば解けます。
  
【Ⅱ】次に、Aを登場させます。Aは単純に1m/sでパン屋に向かいます。一つ目の風船の真下にAを描いて、→(1m/s)と書き込みます。
 
 ここで、流水算というか、相対速度の話ですが、(1m/s)A→ ←○(4m/s)でお互いに近づけば、Aと赤風船は5m/sで近づくことは分かりますよね。もとのままで考えてもよいのですが、動くモノを1つに絞った方はるかに分かりやすいので、風船は24m間隔で制止しているとして、Aが5m/sで動いていることに図を修正しましょう。

 あとは、(5m/s×60s=)300mが1分間にAが動く距離となり、その間にいくつ風船を通過するかを計算すれば終了です。300÷24=12.・・ですね。ここで、最初に頭上にあった1個目を忘れずに加えれば、13個(答え4)と出てくるわけです。  


 どうでしょうか。物体が動く問題では基準時点での絵を描くのが基本です。私は絵を示していませんので、落ち着いてご自身で描いてみてください。Aが注目して見ているのは風船であり、パン屋のおやじではありませんよ。ではまた。
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